「人間用ホームページやめました」とは
「人間用ホームページやめました」の衝撃。AI時代のWebサイトが向かう先と、これからのCMSの最適解

先日、IT業界にちょっとした衝撃が走りました。老舗プロバイダーの株式会社インターリンクが、コーポレートサイトの人間向けHTMLを廃止し、生成AIやAIエージェントが読み取りやすいMarkdown(.md)記法へと全面移行したというニュースです。
「人間が働きやすい環境だけでなく、AIが働きやすい環境をととのえる」
「AIにうまく使ってもらうことにオールインした」
この振り切ったコンセプトは、次世代のWeb標準を先取りする非常に興味深いアプローチです。今回は、このニュースを起点に、急速に進む「WebサイトのAI向け最適化」の事例と、私が開発しているCMSサービス「GoldFeather」が目指すこれからのコンテンツ配信の形について紐解いてみたいと思います。
1. インターリンクが仕掛けた「AI-Firstサイト」という一石
2026年4月、インターリンクはコーポレートサイトをごく一部の例外を除いてHTMLファイルからMarkdownファイルへと移行しました。
現在のWebサイトの多くは、人間が見て直感的にわかりやすいように、リッチな装飾(CSSや複雑なHTMLのDOM構造)が施されています。しかし、ChatGPTやClaude、GeminiといったLLM(大規模言語モデル)のクローラーから見ると、これらのタグは単なる「ノイズ」であり、処理のためのトークン数を無駄に消費させる要因でしかありません。
インターリンクはこの課題に対し、「人間向けの装飾を捨てて、AIエージェントが最も正確に、ストレスなく情報を引用できる優良なソースになる」という決断を下しました。AIによる情報収集が当たり前になる時代を見据えた、非常に先見性のある戦略と言えます。
2. ネット上で加速する「AIフレンドリー」なWebへの転換事例
実は、WebサイトをAI向けに最適化する動きは、インターリンクのような極端な例に限らず、世界中で急速に広まっています。
- llms.txt の標準化と普及 人間向けの robots.txt のように、AIエージェント向けにサイトの概要や重要な情報へのパスを記述する llms.txt というファイル形式が浸透しています。現在、StripeやCloudflare、Vercelといった海外のテック企業はもちろん、国内のテックブログなどでも導入が進んでおり、AIへの「道しるべ」として機能しています。
- Cloudflareの「Markdown for Agents」 CDN最大手のCloudflareは、検索エンジンのAIクローラーに対して、リッチなHTMLを自動的にシンプルなMarkdownに変換して返す機能を実装しています。公式の検証では、16,000トークン以上あったHTMLページが、Markdown化することで約3,150トークンへと80%も削減されたそうです。AIの処理負荷(コスト)を下げることが、これからの時代のAIO(AI検索最適化)に直結することを証明しています。
- WebページのMarkdown変換ツールの台頭 既存のWebページを一瞬でAIフレンドリーなMarkdownに変換し、AI開発ツール(CursorやClineなど)に読み込ませやすくするAPIやミドルウェアも次々と登場しています。
つまり、「良質な情報を、いかにAIが消化しやすい形で届けるか」は、いまやWeb開発における最重要課題の一つになっています。
3. GoldFeatherの構想:人もAIも置き去りにしない「真のホスピタリティ」
インターリンクの「AIに全振りする」アプローチは一つの美しい最適解ですが、すべての企業やサービスが人間向けのUI/UXを捨てられるわけではありません。人間には視覚的なわかりやすさや感情を動かすデザインが必要であり、AIにはノイズのない構造化されたテキストが必要です。
私が現在開発しているCMSサービス**「GoldFeather」**のコンセプトは、まさにこの両立にあります。
GoldFeatherが目指しているのは、**「アクセスしてきた相手(人か、AIか)を認識し、それぞれに最高のホスピタリティでコンテンツを提供する」**という体験です。
- 人間へのホスピタリティ(リッチなHTML配信) ブラウザから訪れた人間のユーザーには、これまで通り読みやすく、美しいデザインを伴ったWebページを提供します。
- AIへのホスピタリティ(最適化されたMarkdown / JSON / llms.txt のシームレスな配信) AIクローラーやエージェントからのアクセスに対しては、装飾タグなどのノイズを削ぎ落とした純度の高いMarkdownテキストや、即座に処理可能な構造化データとしてコンテンツを返します。
「人間用をやめる」のではなく、「人間には人間用の、AIにはAI用の最適な形」をワンソースから出し分ける仕組み。これが、GoldFeatherが提供する新しいコンテンツ管理の形です。
AIエージェントが私たちの代わりに情報を探し、要約し、比較する時代。情報を発信する側には、人間への思いやりと同じくらい、AIに対する「読みやすさの配慮」が求められています。これからのWebサイト運営は、二つの異なる性質の訪問者に寄り添えるCMSが鍵を握っていくはずです。